奈良絵の由来

奈良絵

 室町時代の末期頃から江戸時代にかけて作られた、横本形式の絵草紙「奈良絵本」に描かれた絵を奈良絵と呼んでいる。
 構図も単純で明るい彩色の素朴な画風は「過去現在因果経」( 釈迦の前世の生涯から現世に生まれて苦行を経て覚りをひらき、その後多くの人々を得度させたことを説いている。)にみられ、大和絵の伝統を引くものである。

 赤膚焼の名工、奥田木白(江戸末期の陶工、赤膚焼の中興の祖)によって、赤膚の温雅な上釉に巧みな筆觸でかかれた奈良絵は、奈良の豊かな気分を充分にただよわせた、掬めども盡きぬ、雅趣の漾うものであります。